カップいっぱいのグリーンティー

ジャニーズWESTと神山智洋くん、ときどき日常話のブログ

観たもの記録:2024年2月

先月の勢いはどこ行ったんやというくらい映画を観てないのだけど、代わりに舞台やイベントへ毎週のように行ったので今月はその記録。こうなるともうほとんど日記。

舞台『笑わせんな』

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くすぐり/くすぐられることで快感を得る人々の、秘密の社会人サークルで巻き起こるドタバタブラックコメディ。笑えるだけでなく共感やドン引きや伏線回収もあり、2時間てんこ盛りで楽しい舞台だった。ストーリーの鍵が「セーフワード」で、タイトルがそのものになってるのも良い仕掛けだったな。

主題のひとつとして性的同意の認識やあいまいさが招く危険性について描かれてるのは受け取れたけど、ラストの締め方がいまいちしっくりこなかった。私のアンテナが足りなかったのかもしれないけど、繊細な大問題を美しいハグで飛び級解決させたように感じた点がちょっと残念。個人的には、むしろ解決させずぐちゃぐちゃなまま終わった方が腑に落ちたかもしれない。

良かったのは「くすぐりたい」側の主人公の欲求が、「くすぐられたい」相手では満たされないという現実にぐるぐる悩んでいる場面。彼は「くすぐられたくない人をくすぐりたい」わけで、つまり想い合うパートナー同士では叶わない欲求なわけで…。サド・マゾ論(なんて言葉があるかは知らんが)っぽい感じもありつつ、何気ない日常にも潜んでる心の矛盾だよなとも思う。「相手に求めたことがその求める行為によって為されても、それはもはや求めたことそのものが為されたわけではない」という感じ。ぐーたら旦那に「貴方も掃除してよ」と言ったことで部屋がきれいになっても完全に要求が満たされたことにならないしモヤモヤが残る…みたいな?違うか。

チラシをちゃんと確認してなかったのがいけないんだけど、久ヶ沢徹さんと辻本耕志さんが出ていて驚いた。辻本さんに関しては終演してから気が付くという間抜けっぷり。このお二人といえば小林賢太郎プロデュース公演の常連で、私も高校生の頃(14年前!)に夢中になった作品のキャストなわけだが、まさかこんなタイミングで再会できるとは。思えば2010年の『ロールシャッハ』は私の観劇体験の源流で、今もちょこちょこ演劇を観るような人間でいられるのはあの作品のおかげだから、なんだか感慨深い。久ヶ沢さんの良い声とうっすら漂う変人みが健在で嬉しくなったし、辻本さんは昔のイメージにはなかった残念おじ役が怖さもあって印象に残った。

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そもそも本多劇場で【主演・浜中文一】の劇がかかったというだけでプライスレスな喜びがある。事務所のファンクラブチケットを使うのはこれが最後…と寂しい気持ちになりつつ、既に動き出してる“フリー素材”な主演俳優はいつも通りだったのでこちらもいつも通り楽しめた。隙を見つけては細かい遊びを入れてるし、他のキャストとコソコソ目配せしてるし(笑)。所属してようとしてなかろうと、どこにいたってあのお方は通常運転である。安心安心!(べつに心配もしてないが)
ところで文一くんは変態役が似合う…と言うと語弊があるが、ひと癖もふた癖もある人間を演るのが本当に上手くていらっしゃる。今回は美容師役ということで、ビジュアルが爽やかイケメン風だったのもキャラクターの“癖”とギャップがあってよかった。髪がくりくりしてるのも可愛くて目に優しい。

余談。ついさっき「所属してようとしてなかろうと…」と書いておいてアレだが、文一くんは新感線の劇団員になってはいかがだろうか。古田新太の次の世代の、最高の看板役者になると思うのですが。(あるいは大人計画でも可)

映画『スノーデン』

アメリカの超絶監視システムを告発した元NSA・元CIA職員の話。なんでもハッキングできる監視システムがあまりに凄いので、事実を元にしてるってことが信じ難い。アメリカ政府、怖〜。でもどの国でもやってるかもしれないのか。オンラインの機器は全て監視されてると思って暮らした方がいっそ清々しい。みんな、見てる~???

難しい話でもわりと分かりやすいし、伝記映画だけどドラマチックな作りだからエンタメとして楽しめた。日本駐在時代の家のセットはちょっと変だったけど、洋画にしては頑張っていた方かな。
しかし政府の大スキャンダルでもこういう規模で映画化できるのはアメリカのいいところだね。自由の国、羨ましいですなぁ()

舞台『大人計画ウーマンリブvol.14「もうがまんできない2020無観客版」』

WOWOWオンデマンドで視聴。コロナ禍で中止になった舞台の収録版、ワンシチュエーションのコメディ。5秒に1回くらいのペースでネタが仕込まれてて、本当にくだらないけど笑っちゃう。これは客前でやりたかっただろうなぁ。典子役の中井千聖さんがすごく良くて、調べたらこの作品がデビュー作だそうで。歴戦の大人計画俳優たちにも負けず劣らずの輝き方でした、あっぱれ!しかしクドカン先生は「ありまーーす!!」のネタ(fromSTAP細胞事件)が好きだねぇ。

大人計画の公演を観るのが初めてで文脈が分かってないからかもしれないんだけど、この脚本の冠に「ウーマンリブ」って付いてるのは正直よく分かんない。wikiを見た限りではクドカンが書いた公演につくシリーズタイトルのようだけど、うーんなんか…どうなんですかね?いま話題の『不適切にもほどがある』で批判されてる点とも繋がってるような気がする。あっちもそろそろ一気見したいなぁ。

映画『枯れ葉』

孤独に生きる男と女の、クラシックなラブストーリー。監督のアキ・カウリスマキのことは何も知らず初見だったので、昔の映画っぽい静かなカメラワークに慣れるまでちょっと時間がかかった。最近激しいのばかり観てたから…。

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名前も知らない相手に惹かれて、名前も知らないまま恋が続くっていうのはラブストーリーの典型だけど素敵だ。電話番号をなくしてしまって、映画館の前で会えるのをひたすら待つっていうシーンも。じりじりするけど純朴さが可愛い。女性が理不尽に仕事をクビになったとき、同僚の人らが当たり前のように連帯してくれてたのがよかった。
もしかすると現代じゃないのではと思うくらい古典的な雰囲気なのに、ラジオからロシアとウクライナの戦争のニュースが流れてきてハッとさせられる。日常だけど非日常、でもそれも日常ということかな。

途中でちょっと異質な女性デュオが出てきて、彼女らの曲がすごく良くてプレイリスト入りした。MAUSTETYTÖT(マウステテュトット)の『Syntynyt suruun ja puettu pettymyksin』。フィンランド語はさっぱり分からんのだが、歌謡曲っぽさもあって口ずさみたくなる。

『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』

確実に2月のハイライト。公式サイトにある通り、チケット1万オーバーは「高ぇな!」と思ってたのだが行ってみたら全くそんなことはなかった。ほんとに当たってよかった。

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オードリーはM-1直前の2008年ごろから好きで、漫才はもちろんのこと若林さんのいわゆる“顔ファン”であり、葛藤であふれる内心を言語化できるクレバーな頭脳のファンであり…つまりリア恋タイプの感情をずっと抱えていた対象だった。
(ここで言ってるのはアイドルに向けて言う“顔ファン”とはまた別物である。若林さんは単純にタイプなのだ。この15年間、「好きなタイプは?」「オードリーの若林」「えーー」というやりとりを1000回くらいやりながら生きてきた。えーーって何だよ。笑)

しかし当時の若林さんはワーキャー的なファンを歓迎していないようで(芸人なんだからそりゃそうだが)、困っているというよりは嫌なんだろうなと思える言い回しで話していた。今思えばそういった発言があったので狂ったオタク化せずに済んだのかもしれない。可愛い~!と思ってもわざわざTwitterやブログに書くことはしなかったし、おもろい漫才や動画やANNを友達に勧めることはあっても、基本的にはひっそりニマニマするだけに留めていた。

そんななか、ずっとお耳の友達だったANNがある日を境にぱったり聴けなくなる。2019年11月、若林さんが結婚を報告したからである!デデーン!!トークゾーンで語られるエア彼女を本当にエア彼女だと思っていたピュア人間の私、わりとショック!!リア恋といってもべつに本当にお近づきになれるとかなりたいとか思っているわけでもないのに、そこそこショックでANNはほぼ聴かなくなっちゃったのでした。キモいよね。(ここまでが前置き。長い)

そこへきての東京ドーム公演だ。幸運にもチケットがご用意されたんだから積極的にメモリアルな日にするべきだと思い、ワーキャーファン全開のうちわをあえて用意した。

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この出来、かわゆいすぎる。2008年当時は手作りうちわを持つような人間になるはずがないと思っていたが、今の私はすっかり手練れなのでこれくらいは余裕である。1日限定で一気にアイドル化させるのと同時にリア恋感情を出し切り、「にょぼ林のお話しんどい」とかほざく自分と決別するためのアイテムとして機能した。恥ずかしさのスイッチをオフにして、たくさん写真を撮ってもらった。わははは。満足。

公演自体の感想はツイートしたそのままなので貼るだけにしておく。

想像の8倍くらいおもろかったお祭り。3時間半があっという間、ずっと笑ってて口角上がりっぱなしで顔面痛い。わりと心の距離を保ちながらファンやってたつもりだったけどMC.wakaで流石に泣いちゃった。たのしいまんざいもゲラゲラ笑いながらグッときたりして情緒がトゥース #オードリーANN東京ドーム pic.twitter.com/4vtZWP2rIc
— 秋乃まりも (@marimo_aw) February 18, 2024
1階最後列で立ったり座ったり自由が効いたのも◎。現場ではノリよし人間になるタイプなのでよふかしのうたの時点でフゥーー言いながら踊ったしDJ.wakaでも体揺らしながらウケる初体験できたし、まさか星野氏で踊る人生なんて想像もしなかったけどブチ上がった最高ありがた男 #オードリーANN東京ドーム pic.twitter.com/H1km1avEOJ— 秋乃まりも (@marimo_aw) February 18, 2024

ドームでの若林さんのトークには奥様も娘ちゃんも出てこなくて、すっとぼけていれば独身でいらっしゃるような気分で聴けるものだった。YouTubeの対談で青銅さんが仰っていたことを反映させてるだけかもしれないけど、クソキモ感情を抱えてる身としては大変にありがたく、スタンド最後列でうちわを掲げる気持ちも晴れ晴れしく、舞台裏へ引っ込んでいく後ろ姿に笑顔で手を振って大団円を迎えることができた。ありがとうございました。

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ちなみに公演後のラジオでは、トークゾーンのオチが娘ちゃんのお話だった。ほらね、本当にクレバーな人だよ若林さんは。

舞台『骨と軽蔑』

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内戦が続くなか、軍需品で財を成すお屋敷に住む一家を中心に、7人の女性だけで紡がれる物語。いつか観てみたいと思っていたケラさん演出で、主演級の女優を7人いっぺんに目の当たりにできるなんてお得すぎ。特に犬山イヌコさんの茶目っ気と堀内敬子さんの可愛らしさには参った。他にもいっぱい観たい。お二人のような大人になりたい。

二階に引っ込んだまま姿の見えない旦那様、セレブな奥様と2人の娘、メイド…っていう設定が映画『8人の女たち』と似てるなーというのが第一印象。しれっとファンタジー要素が入ってきたり、お屋敷から日比谷の客席に話しかけてくるネネの語り口が面白かったり、セットの巧みな使い方で場面を行ったり来たりさせたりと、おかしみも満載で楽しかった。鈴木杏さん演じるドミーの、義兄への恋心にもうちょっと感情移入できたらよかったな。

ラジオをつけるシーンが何度かあって、男性の淡々とした声でその日の戦死者数が伝えられるんだけど、よく考えたら映画『枯れ葉』とも通じる使われ方だったな。終盤で1通のお便りが読み上げられて、「○○さんはもういません、●●さんはもういません、××さんはもういません…」って延々と続くのが気持ち悪さと恐ろしさとでヒェ…となった。戦争。

客入れ時や幕間のBGMが不思議で面白い曲だったのでShazamで調べたりしたのだけど、あれに苦言を呈する人もいるようで(ケラさんのツイートで知った)。私としては、舞台はああいうBGMも作品の要素のひとつだと思ってるからちょっとびっくりである。VBBのときもLUNGSのときもShazamで調べてプレイリストにしてあるよ。

『不思議な国のエロス』

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戦争ばかりする男衆を止めるため、セックス・ストライキを起こして平和を勝ち取ろうとする女たちの物語。原案も原作も知らないけど、単純に稲葉賀恵さんの演出が観たくて行ってみた。感想はほとんどTwitterに書いちゃったのでリンクを置いておく。(長いツリーなのでぜんぶ読みたい人はリンク先に飛んでください)

#不思議な国のエロス よき舞台だった!ジェンダーバイアス(と性欲求)に縛られもがきながら、逃れられない争いに対抗し融和を勝ち取るものの、それもまた個人の苦しみの上に立っている…というお話にぐいぐい抉られながら、ポップス/演歌/ラップ/軍歌っぽいものまで彩りある劇中歌に胸が踊る2時間10分。 pic.twitter.com/YVMra19HPa— 秋乃まりも (@marimo_aw) February 25, 2024

女が連帯するさまに感動しがちなので、女たちが手を取って歌い始めたとき序盤なのにちょっと泣きそうになって危なかった。あと終盤に「女の平和の大合唱」っていう歌があって本当にキャストみんなで大合唱するんだけど、あまりにもハッピーな雰囲気だから釣られてニコニコしてたのにそこから一人悲劇に取り残されたままの女の子が出てきて。ウッと気まずさが込み上げて、上がった口角をへにょへにょこっそり下げるという体験をした。そう、あれは『幽霊はここにいる』と同じ体験だった。あぁ回顧回顧。戦争しんどい。

結局セックス・ストライキは成功して、女体に飢えた男たちが性欲に負けたことで戦争をやめて平和が訪れるわけなんだけど。それ自体はまぁええ感じの結末だよねと思っていたのに、これ書きながらよくよく考えたら根本的なところがキモくなってきちゃった。だって女性側は【性的欲求<平和】なのに、男性側は【性的欲求>平和】なわけじゃん?キモくない??笑

ライブ『椎名林檎と彼奴等と知る諸行無常

WOWOWオンデマンドで視聴。ホントは公演に行きたかった。林檎さんのライブは凄みとオモロみが共存してるから好き。めちゃくちゃカッコいいけどちょっとウケる、というのが醍醐味だと思ってる。特に衣装が最高。マドンナかってくらいのボディコンシャスなやつとか、ボクシンググローブとか。それ椎名林檎にしか許されんだろ、というようなモリモリ飾りがついた熊手のヘッドドレスも「ウケる~!」とか言いながら作ってそうで笑える。知らんけど。

そしてあの緊張感。客席ほぼ全員オタクだろうに、どことなくみんなが緊張しているような感がある。そういうところも良い。セットリストは『走れゎナンバー』『JL005便で』と乗り物メドレーになってたところと、『緑酒』『NIPPON』で本編を結んでたのがよかった。あぁー、いい加減ライブ行きたいな。

あと2月は白暮のクロニクル1話の先行配信も観たけど、それはもう書くとしたら完全に別件なのでこのエントリには入れません。うふふ。

2月に聴いてた曲

いろいろ聴きまくってたおかげで良曲との出会いが多かったなー。
Charisma.comが本格再始動しそうなのと、LE SSERAFIMの新譜が金かかってるしクオリティ高かったのと、ビヨンセの新曲が電撃リリースされたのが今月のトピックス。書き出したら女性アーティストばっかりだ。WOWOWに加入したこともあってグラミー賞も一応チェックしたけど、あんまり刺さる曲がなくて残念。いちばん良かったのはJay-Zのスピーチだった。


2月はここ数年でいちばんメンタルが安定してて、寝込むこともなかったし比較的人間らしい生活ができたので自分を褒めたい。えらいえらい!